猪俣美術建具店訪問記 [前編]

こんにちは、メトロクス・オノデラです。

本日は、工房訪問記。

先週の金曜日、
組子のコースターを製作していただいている
新潟県上越市の猪俣美術建具店にお邪魔してきました。

あたりは真っ白。
訪問させていただいた日は暴風雪でした!!

左側が工房、右側はショールームになっています。

猪俣美術建具店は、
日本建築独自の装飾技法である
「組子」を用いた建具を製作している工房です。

ショールームには、過去の作品や
サンプルなどが展示されています。

光とのコントラストが美しいです。

過去に製作した組子のサンプルパネルがたくさんありました。
これらは、猪俣さんのお父様が製作されたものとのこと。

約1mm程度の板を細かく組んで模様が作られています。
板の淵を面取りして、優しい表情にみえるものもあります。
とっても細かい作業・・・。
まさに、お見事としか言えません・・・。
しばらくの間、これらのサンプルを見て、うっとりしていました。

さて、工房では、猪俣一博さんと、
猪俣美術建具店の創設者であるお父様の2人体制で製作をしています。
忙しくて手が回らないときには、お母様にもご活躍いただくそうです。

工房の中には、
建具制作に必要なパネルソーやプレス機などの大物の機械の他、
イスなどの家具製作に必要なバンドソーなど、
木工に必要な機械類が一通り揃っています。

現在は、組子の建具が中心ですが、
数年前までは、家具の製作もされていたそうです。

今回の訪問では、「組子」についてより知識を深めることができました。

これらの組子がどのように作られていくのか、
制作工程を見ながら教えていただきました。

「組子」は、正確にカットされた細かな木片を手で組んでいく、
どの工程においてもわずかな誤差も許されない精度の高い技術です。
とくに、三本の板を組み合わせて制作する、
“三組手(みつくで)”と呼ばれる技法は、
より高度な技術と経験を要します。

それぞれのパーツがどのように作られているのかは企業秘密なので、
すべての工程はお見せすることができないのですが、
可能な範囲でご紹介させていただきます。

細長い板パーツに均一に切り込みが入っています。
よく見てみると、
切り口に角度がついていますね。

切り口の角度は、30度と60度が基本です。
この角度や幅、長さ、角の頂点の位置がほんの少しでも違うと、
きれいな仕上がりにならないどころか、組み上げることも困難になります。

手作業で、これらのパーツを糊を少量ずつつけながら、
糊がはみ出さないように、慎重に組んでいきます。

さらに、細かいパーツも、もちろん手作業。
根気のいる作業です。
この日はお客様への納品日が近いということで、
助っ人のお母様も作業中でした。

組み上げた後に、その上から鉋をかけます。

最後の仕上げは、サンドペーパーではなく、鉋をかけます。
サンドペーパーでは、白く粉っぽくなってしまいます。
鉋をかけることで、艶がでてきれいな仕上がりになります。
パーツが欠けたり、傷がついたりしないよう、
熟練の技術が必要です。

・・・と、あれよあれよと、
文章が長くなってしまいました。

訪問記は来週に続きます。

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