世界の民芸と芹沢銈介
みなさん、こんにちは。メトロクス:タニです。
今週は久しぶりのスタッフブログです。
先日、以前から探していた書籍が見つかったのでついに購入しました。
写真は我が家の書棚。その本というのは「世界の民芸」。真ん中においてある本です。
ご存知の方もいらっしゃるのでしょうか?この本は、昭和45~46年に、
週刊朝日で連載をされていた企画を1冊にまとめられた本です。
海外の民芸品を紹介し、それを写真と一緒に解説を加えたという、
なんとも面白い内容。さらに、それらの民芸品を自身の手持ちから、
また知人の収集品から選び、紹介をしたのは、濱田庄司、芹沢銈介、外村吉之介の3人。
日本の工芸を語る上で欠かせないこの3人が選んだ世界中の民芸品が
212品紹介されているのです。何度もブログで書いていますが、芹沢銈介大先生が
選んだもの、持っているものにはとても興味があります。
もちろん今では絶版になっているので、古本屋やオークションで見つけても
結構な高値です。さて、その「世界の民芸」。一体どのような中身なのでしょうか?
装幀も芹沢銈介が担当しています。1ページ目からわくわくしますね。
さすがに全ページはご紹介できないので、いくつかをご紹介します。
メキシコの椅子です。以前何かの図録で、この椅子に座っている芹沢銈介を
見たことがあります。自宅で使っていたそうです。メキシコの市場では道端に
積み上げられて売られているそうです。価格も安く、一般家庭でも普通に
使われているそう。
「10年来日々使っているが、でしゃばらず、掛け心地もよいので、客に向かう場所に置いている」
とコメントが。メキシコ人は日本人とも体型がにているから、きっとサイズもちょうど
なんでしょうね。
スウェーデンの整理棚。デザイナーがいるわけでもなく(いるかもしれないのですが。。。)、
まさに機能をそのまま形にしたような家具ですね。持ち手の付いた箱が収納でき、
きっとその寸法も考えられていて、いろんな組み合わせで収納できるように
なっているのでしょう。箱自体は、あのル・コルビュジエが晩年を過ごした
カバノンでで使用されていた、LC14(現行品)のようですね。あちらはスツールでしたが、
こちらはボックスになっています。とても便利そうですね。
「この見えも飾りもない、働く人の姿を見るような家具」との解説。
これは今度僕も作ってみようかな、なんて思っています。
イランの小皿、だそうです。別のページでデルフト(オランダ)のタイルも
紹介されているのですが、この紹介は濱田庄司。今年の春の陶器市でも
訪れた益子参考館にあった、バーナード・リーチ作「玉ねぎ売り」を思い出す
小皿たち。この濱田庄司の解説がとても面白い内容です。
釉薬がこうであっただろう、どこそこにはまだこの窯があるだろう、
日本の織部にも似ているが、アラブ地方の伝統というのは云々カンヌン、と。
フランスの肉焼きコンロ。この解説は外村吉之介。
「作家の一点つくりではなく、量産品で、機能を考慮し、かつ簡潔な意匠に終始している」
と絶賛。たしかに、なんともかわいらしいフォルムで、煙突もついていて、家に庭が
あったら、そこにおいて、お肉でも魚でも野菜でもなんでも焼いて毎日使いたいですね。
日本にもこういうのがあるといいですね。七輪もいいけど、煙突がついていると
更に良いですね。
と、このような世界中の民芸品が紹介されているのです。本当に面白い。
最後のあとがきは濱田庄司が書いているのですが、そこにも
とても良い言葉が書かれていました。
「・・・・博物館で見るだけでは駄目です。安いものでも買わなければ身に付きません。
そして身についてからも、育ての親として正しく使い込むことが大事な仕事です・・・・」
と。やっぱりな、そうだよな、と思って今までの自分の行動が間違っていない
(器や家具などを買って自分で使ってみないとだめだ!という信念)と改めて
思い、またお皿を買おうとするのですが、待てよ待てよと思いとどまるのです。
お財布と相談しなさい、と。とほほ。
あとがきでは、「民芸」という言葉ができた経緯(柳宗悦、河井寛次郎らと汽車で
相談の上、「民衆の工芸」をつめて「民芸」とした)なども書かれていて、
なるほど、知らなったと思うことがたくさんありました。
みなさんも、どこかで見かけたら是非手に取って見てみてください。おススメです。
さて、今週のおまけ。またまた、私物の紹介です。
芹沢銈介が1976年にパリへ招かれて開催した「芹沢銈介巴里展」図録。
左は展示会で販売されたもの、右の風の字紋が表紙の図録は、会期後に
発売された、その展示会の様子なども収められたものです。
国立グラン・パレ美術館で開催されたこの展示会は大盛況だったそうです。
パリの街には「風」のマークのポスターが並んで、待ちゆく人々の目を
引いていたそうです。
「(ジョルジュ)ブラック、(パウル)クレーに匹敵する」と評された芹沢銈介の作品。
また静岡県立芹沢銈介美術館に行きたくなりました。
そして珍しいハンカチ。
ハンカチ いろは文。紺の字に黒い文字が織り込んであるタイプです。とてもシック。
ハンカチ 笠紋。沖縄の笠の図案が用いられています。赤にこげ茶の縁も素敵。
どちらも20年くらい前に生産されていたものだそうです。
良いものを見つけました。使わずにとっておこうと思います。
最後になりましたが、人気の芹沢銈介の卓上カレンダー2014が発売になります。
今週中にはオンラインショップにアップ予定です。毎年人気です。
お早目にお買い求めください。