猪俣美術建具店訪問記 [後編]

こんにちは、メトロクス・オノデラです。

先週に引き続き、
新潟県上越市 猪俣美術建具店への
訪問記をお届けいたします。

さて、メトロクスでも人気の組子コースター

猪俣さんに、製作方法についてお伺いしました。

組子コースターの形、六角形を構成する
“三組手(みつくで)”という組子の技法について。

まず、“組手(くで)”とは、
細く切った板に溝を施し、釘を使わずに木を組んで接合する技術のことです。
板と板を90度垂直に組まれた、
ご家庭に取り付けられている一般的な障子も組手加工のひとつ。

その発展型として、“菱”という加工があります。
一般的な障子が90度に組まれていますが、
それを組手を30度前後傾けて組むと、菱模様となります。

“菱”のさらに発展型が、“三組手(みつくで)”です。
“三組手(みつくで)”とは、“菱”の辺と辺が交わる部分に、
さらにもう1本、板を加えたものです。

板と板の交わった部分の角度は60度。
正三角形が6つ集まって成り立っているということになります。

組子コースターも同様、
よくよく見てみると、
正三角形が6つ集まって、形造られているのがわかります。

組んでいないバラバラの状態のパーツです。
両端の2本のパーツは、同じ形のパーツで片側のみ溝が切り込まれています。
真ん中の一本は、両側から切り込みが入れられています。
(※上の画像は、コースターより大きいサイズの板です。)

組んだ部分の途中過程を上から見てみると、
切り口、はめ口が60度になるように
板の溝が細工されているのがよくわかります。

ぴったりはまって、気持ち良いです。

組子コースターの中でも、
日本の伝統的な模様としてもっともよく知られている「麻ノ葉」。
6つの正三角形の内の、ひとつをピックアップ。

長さがたった1cm程度の板の両端に糊をつけて、
正三角形の中に、取り付けていきます。

よくよくその小さな板を見てみると、
両端に施されたカットの角度が、それぞれ違っています。

三角形の頂点に接合する方は、60度に。
小さな板が3枚集まっている部分は、120度になっています。

正三角形の骨組み、
そしてこの小さな板のカットする長さや角度が、
少しでも狂うと、よい出来栄えになりません。
0.1mmという、髪の毛の太さ程の単位で、精度が大きく左右されるという、
わずかな誤差も許されない精度の高い技術なのです!

猪俣さんが製作する、メトロクスの組子コースター
ぜひお手にとって、その緻密な細工をご覧になってみてくださいね。

おまけ

お昼ごはんは、猪俣さんと
つるりんとしたのどごしの新潟名物「へぎそば」と、
よく脂の乗ったのどぐろの天ぷらとあわせていただきました。
美味!

へぎそばの盛り付け方、
魚のうろこみたいでかわいいですね。

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