青谷の因州和紙
こんにちは、メトロクス・タカダです。
梅雨が明けて、いよいよ夏本番となりました。
先日、近所の図書館に立ち寄った際に、一冊の本に目が留まりました。
「和紙の里 探訪記-全国三百ヶ所を歩く-」 菊地正浩 著
北海道から沖縄まで日本各地300ヶ所以上の和紙の産地を
2年半掛けてほぼマイカーで巡った取材をもとに、
地域の自然環境と和紙の関係と、各地の歴史的な特徴について語られています。
和紙と言えば、昨年、岐阜県の「本美濃紙」をはじめ、日本の手漉き和紙の
伝統的な技術が、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。世界の宝です。
そんな世界の宝。エヌクラフツでも、面白いものをご覧いただけます。
鳥取県東部・青谷の地域で和紙製品の製造を行っている
「谷口・青谷和紙」による照明器具シリーズ「AOYA」です。
エヌクラフツでは、その中でも「Natural」というシリーズを取り扱っております。
この地域でつくられている和紙を因州和紙といって
古くより庶民が使う紙はもちろんですが、朝廷、幕府、藩主に収める
御用紙の製造を担ってきました。
因州和紙の起源は、奈良時代(西暦700年代)まで遡ります。
正倉院文書の中に因幡国(現在の鳥取県東半部あたり)の国印が押されれている書物が
残っており、少なくとも1300年以上も前には、因州和紙の製造が行われていたといえます。
保存状況にもよると思いますが、その長い間、朽ちずに残っている書物を考えると
和紙の耐久性にも驚きます。
1100年ほど前に記された「延喜式」という書物には、朝廷への献上を行ったとされる
記述もあり、古くから、高い品質の和紙をつくっていたこともうかがえます。
そんな長い歴史を持つ因州和紙の製造を行っている「谷口・青谷和紙」ですが、
とても革新的な技術を使って和紙製品作りを行っています。
ナチュラル ムーン ペンダント Mサイズ (ワイヤー仕様) ¥30,780
点灯時
この球形の和紙、内側の骨組みも、継ぎ目もないことがお分かり頂けるかと
思います。以前もブログにて紹介させていただいておりますが、
実はこれ、立体的に漉くことでつくられた照明なんです。
球体の立体漉き和紙は、技術的に難しく、不可能とされていたようですが、
「谷口・青谷和紙」は2001年に球形の立体漉き和紙について量産技術を確立しました。
骨組みや継ぎ目のない球状の和紙は、明りを万遍なくやわらかく拡散してくれます。
また、そのシンプルなフォルムは、和洋の隔たり無く
どんな空間にも合わせて使うことができます。
今に始まったことではないですが、様々な生活様式が発展する中で、
和紙製品に触れる機会が、減っているような気がします。
さりげなく日本の伝統工芸のものが傍にある生活もよいのではないでしょうか。